本物の潜水艦がなぜ無料?海上自衛隊呉史料館の全貌と最新攻略法
館内は大きく分けて、1〜3階の屋内展示フロアと、屋外に連結された本物の潜水艦「あきしお」の艦内体験ルートで構成されています。多くの来館者が巨大な潜水艦の外観に目を奪われますが、展示構成を深く読み解くと、2つの極めて重厚なテーマが浮かび上がってきます。
最大の見どころは、屋外に浮上した状態で固定された潜水艦あきしおの内部見学です。あきしお(SS-579)は、1986年から2004年まで実際に海上自衛隊で第一線の警戒監視任務に就いていた「ゆうしお型」潜水艦の7番艦。艦内に一歩足を踏み入れると、外光が完全に遮断された静謐な空間に、無数の計器盤や配管、バルブが所狭しと張り巡らされています。実際に触れることができる2基の潜望鏡からは呉港を行き交う民間船や対岸の造船所が鮮明に見渡せ、士官室やわずか幅数十センチの3段ベッドなど、隊員たちが数カ月間にわたり閉鎖空間で耐え抜いた苛烈な生活環境が克明に迫ってきます。
艦内各所には自衛隊OBのボランティア解説員が配置されており、「水深数百メートルの深海では船体が水圧できしむ音が響く」「曜日感覚を失わないために毎週金曜日にカレーを食べる風習が定着した」といった、現場経験者ならではの生々しい手記に匹敵する証言を直接聞くことができます。
もう一つの決定的な展示が、1階から2階にかけて展開される掃海艇(そうかいてい)による機雷除去の歴史です。先の大戦末期、日本近海には米軍によって6万発以上の機雷が敷設され、戦後の日本航路は完全に封鎖されていました。この危険極まりない機雷を命がけで除去(航路啓開)し、戦後日本の経済復興と食糧輸送の道を拓いたのが旧海軍軍人と海上自衛隊掃海部隊でした。1991年の湾岸戦争後におけるペルシャ湾への掃海艇派遣など、世界屈指と称される日本の機雷除去技術と隊員たちの知られざる死闘は、訪れる人々に強い感銘を与えています。