『びじゅチューン!』の鬼才・井上涼が放つ発想の源泉と現在地
彼のクリエイティビティの原点は、金沢美術工芸大学の卒業制作として発表された『赤ずきんと健康』にまでさかのぼる。誰もが知る童話をベースにしながら、不規則なリズムと独特な語り口で展開される作品は、当時のインディーズアニメ界に強烈な衝撃を与えた。
視覚要素と聴覚要素が寸分の狂いもなく噛み合った音楽アニメーションというスタイルは、すでにこのデビュー期において確立されていた。大学時代に培われた純粋美術の確かなデッサン力と、商業主義にとらわれない自由な実験精神が、後に巨大な支持を集める表現手法の土台となったことは疑いようがない。