大森海岸は治安が悪い?「住みたくない」噂の真相と家賃のリアルを徹底検証
不動産ポータルサイトの掲示板やSNSで散見される「大森海岸はやめたほうがいい」という書き込み。その真偽を確かめるべく、警視庁が公開している町丁別犯罪件数データ(品川区南大井2〜3丁目、大田区大森北2丁目周辺)を精査すると、驚くべき実態が浮かび上がります。このエリアにおける年間凶悪犯罪の発生件数はほぼゼロに等しく、粗暴犯も極めて稀。数字の上では、東京23区内でも極めて平穏な住宅街であることが裏付けられています。
では、なぜ大森海岸の治安が悪い理由としてネット上で不安視され続けるのか。取材班が現地フィールドワークを実施したところ、原因は主に「特定のストリートに集約された景観」と「交通環境の特異性」にありました。
第一に、京急本線大森海岸駅の改札を出てすぐの第一京浜(国道15号)沿いには、かつての花街や昭和の風俗産業の名残であるラブホテル数軒が現在も営業を続けています。ネオンサインが発する独特の雰囲気が、夜間に駅を降り立った人々に心理的警戒感を抱かせる要因となっています。第二に、大森海岸駅は大井競馬場へ向かう無料送迎バスの発着点の一つでもあったことから、レース開催日には競馬ファンが多く往来し、古くからの下町風情を「柄が悪い」と短絡的に捉えてしまう層が存在した点も否めません。
さらに、第一京浜と首都高速1号羽田線が並行して走っているため、大型トラックの走行音や排気ガス、スピードを出す車両への警戒感が「歩行者にとっての落ち着かなさ」を生み出し、それが治安への漠然とした不安へと転化されている側面が強いと分析されます。