ダリ名作『記憶の固執』溶ける時計の謎と小さすぎる絵画の真相
現在、『記憶の固執』の本物を鑑賞できる所蔵場所は、アメリカ・ニューヨークにあるMoMA(ニューヨーク近代美術館)です。1934年に匿名の寄託者からMoMAへ寄贈されて以来、およそ1世紀にわたり美術館の目玉コレクションとして常設展示されています。
展示室では、ゴッホの『星月夜』やピカソの『アビニョンの娘たち』と並び、常に世界中からの美術ファンが足を止める人気スポットとなっています。肉眼で見る際は、以下のディテールに注目してください。
第一の見どころは、画面奥に広がる故郷ポルト・リガトの海とクレウス岬の崖の透明感ある光の描写です。シュルレアリスムの不条理なモチーフを引き立てているのは、ダリが幼少期から愛したカタルーニャの硬質で乾いた美しい自然光です。そして第二に、時計の文字盤に止まる一匹のハエが落とす影のリアルさ。夢想の絵画でありながら、古典絵画の巨匠をも凌駕する徹底的な写実力が、見る者の現実感を心地よく揺さぶります。