ゲノムと遺伝子とDnaの違いを徹底解説!本でわかる図解と最新医療
「読む(解析する)」段階から「書き換える・修復する」段階へと、生命科学は決定的なパラダイムシフトを迎えています。
2020年にノーベル化学賞を受賞したCRISPR-Cas9をはじめとするゲノム編集最新技術は、狙った遺伝子配列を極めて高い精度で切断・改変することを可能にしました。さらに近年では、二重鎖を切断せずに単一の塩基だけを書き換える「塩基編集(Base Editing)」や、任意の長い配列を正確に挿入・置換する「プライム編集(Prime Editing)」など、オフターゲット変異(狙いと異なる場所の誤切断)を極限まで減らした第3・第4世代のツールが実用化フェーズに入っています。
こうした技術革新を背景に、遺伝子治療の最新動向は劇的な進展を見せています。鎌状赤血球症やβサラセミアといった難治性の遺伝性血液疾患に対して、患者の造血幹細胞を取り出して体外でゲノム編集を施し、再び体内に戻す治療薬(エグザセルなど)が国際的に承認を取得し、日本でも実用化へのプロセスが加速しています。
先天的に異常のある遺伝子を根本から修正し、生涯にわたる治療から患者を解放する「治癒」への道が開かれつつある一方、数千万円から数億円に及ぶ超高額な薬剤費と医療経済のバランス、さらにはヒトの受精卵や生殖細胞への改変を巡る生命倫理のルール作りが国際的な最重要課題となっています。