吉高由里子『蛇にピアス』の真相|19歳の覚悟と過激作の裏側
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吉高由里子が『蛇にピアス』のルイ役に選ばれた背景には、彼女の人生を根底から揺るがした凄惨な交通事故の経緯が存在します。この事故なくして、映画『蛇にピアス』の吉高由里子は誕生しなかったと言っても過言ではありません。
映画のオーディションが行われる直前、吉高由里子は乗車していた車がトラックと衝突する大事故に遭いました。車外に投げ出され、顎の骨を粉砕骨折。集中治療室(ICU)に5日間入り、全身麻酔の手術を伴う全治半年の重傷を負ったのです。一時は生死の境を彷徨い、医師からも「女優としての復帰どころか、元の顔に戻るかどうかも分からない」と告げられる絶望的な状況でした。
約1ヶ月半の入院生活を経て退院した吉高由里子は、顎を固定するワイヤーが外れた直後、体重も激減し、顔に痛々しい傷跡が残る痛ましい姿のままオーディション会場へと向かいました。所属事務所側も当初は辞退を考えていたものの、本人の強い意志により参加が実現したと当時の関係者は証言しています。
蜷川幸雄監督との対面において、吉高由里子は媚びることも気負うこともなく、どこか虚脱したような、それでいて冷徹な強い光を宿した瞳で佇んでいました。蜷川監督から「ベッドシーンも裸もあるが、本当にできるのか?」と問われた際、彼女は淡々とこう言い放ったと伝えられています。
「一度死にかけた身からすれば、服を脱ぐことなんて痛くも痒くもありません。生きていることの実感に比べたら、カメラの前で裸になることなど大した問題ではないです」
生死の淵から生還した者だけが放つ圧倒的なリアリズムと、世間に対する諦念を抱えた特異な空気感。これこそが、蜷川幸雄監督が探し求めていた「生きている実感が持てず、身体の改造と痛みによって辛うじて呼吸を保つ少女・ルイ」そのものでした。監督はその場ですぐさま起用を決断したといいます。