日野日出志の現在と死亡説の真相|トラウマ名作の軌跡と80歳の素顔
日野日出志作品の凄みは、単なるショック描写にとどまらない点にあります。ネット上の読者コミュニティや5ch、レビューサイト等の生の声を見ても、「子どもの頃は怖くて表紙すら直視できなかったが、大人になって読み返すと涙が止まらない」という声が圧倒的多数を占めます。
初期の代表作『蔵六の奇病』では、全身におできができ、村人から忌み嫌われ山奥へ追放された心優しい青年・蔵六が描かれます。蔵六は己の肉体から吹き出す色とりどりの膿を絵具にし、不朽の名画を描き続けます。これは表現者の業(ごう)そのものを投影した寓話であり、異形のものに対する限りない慈愛が満ちています。
一方、映像分野への進出として世界的なセンセーションを巻き起こしたのが、スプラッター映画『ギニーピッグ』シリーズです。日野が監督・脚本を手掛けた『ギニーピッグ2 血肉の華』(1985年)および『ギニーピッグ4 マンホールの中の人魚』(1988年)は、徹底した特殊メイクと血みどろの美学で国内外を震撼させました。ハリウッド俳優のチャーリー・シーンが本作のビデオを観て本物の殺人映像(スナッフフィルム)と誤認し、FBIに通報して大騒動に発展したエピソードは、映像の凄絶なリアリティを物語る有名な実話として語り継がれています。