美瑛「セブンスターの木」はなぜ有名に?タバコ採用の真相と見どころ徹底解説
広大な畑作地帯に凛として根を張るこの木が、全国区の知名度を獲得した契機は1976年(昭和51年)に遡ります。当時、国内のたばこシェアを席巻していた日本専売公社(現JT)が、主力銘柄「セブンスター」の地域限定・観光記念パッケージとして、この丘に佇む木と広大な空の白黒写真を採用しました。これが「セブンスターの木の由来」であり、すべての始まりです。
当時、日本は空前の国内旅行ブームの中にありました。国鉄の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンが若者の旅情を刺激し、若者たちがこぞって北海道へ旅立った時代です。手元にあるタバコの箱に印刷された美しい一本の木を探し求め、多くのツーリストやカメラマンが美瑛の丘を訪れました。パッケージに切り取られた風景は、単なる工業製品の包み紙を超え、雄大な北海道の原風景の象徴として日本人の心に深く刷り込まれることになります。
植物学的な視点で見ると、この木は針葉樹ではなくブナ科の落葉樹である「美瑛町カシワの巨木」です。カシワの木は、秋に葉が枯れても冬の強風に耐え、翌春に新芽が出るまで落葉しないという珍しい性質を持っています。過酷な寒風が吹き抜ける美瑛の丘で、茶褐色に染まった葉をまとったまま雪原に立ち尽くすその姿は、昭和のクリエイターたちに「孤高の美学」として映ったに違いありません。