なぜ80キロの球が打てない?小宮山悟の魔球「シェイク」驚愕の誕生秘話
シェイクの最大の特徴は、一般的なナックルボールとは根本的に異なる独特な握り方とリリース法にあります。打者の手元で不規則に揺れる球種といえばナックルが連想されますが、両者の構造には明確な技術的断絶が存在します。
通常、ナックルボールは人差し指と中指の爪や指先をボールの縫い目に立て、リリース時に弾くようにしてボールの回転を殺します。これに対して小宮山悟のシェイクは、人差し指と中指の「腹」でボールを挟み込み、親指を添えて支えるスタイルを採用していました。フォークボールの挟み方を浅くし、指を立てずに包み込むような形です。
投球動作において最も重要だったのが、腕の振りをストレートと全く変えない点です。全力で腕を振り下ろしながら、リリースの瞬間にスナップを一切利かせず、指の腹からボールを前へと押し出します。これにより、ボールに伝わる前進エネルギーが大幅に相殺され、ほぼ無回転の状態で80km/h前後という超低速で打者へと向かっていきます。
球速が100km/h〜110km/h前後で鋭く揺れ落ちるメジャー級のナックルと異なり、シェイクは時速80kmというあまりの遅さゆえに、重力と空気抵抗の影響を極限まで受けます。ボールの縫い目(シーム)によって左右非対称な空気の剥離が生じ、後方に不規則な渦(カルマン渦)が発生することで、打者からは「浮き上がった後に急に失速し、左右へ揺れる」ような錯覚を引き起こすのです。