『のび太の海底鬼岩城』が名作たる理由|バギーの結末とトラウマの真相
恐怖と緊迫感が続く本作において、最大の感動を呼ぶのが「水中バギー(バギーちゃん)」の存在です。声優の三ツ矢雄二氏が演じるバギーは、人工知能を搭載した海底用ビークルでありながら、当初は口が悪く、ひねくれ者で、のび太たちの命令を嫌々聞く反抗的なキャラクターとして登場します。
そんなバギーの心を開いたのが、誰に対しても分け隔てなく優しく接するしずかでした。泥で汚れたバギーの車体を丁寧に洗い、「あなたを信じている」と心を通わせるしずかに対し、バギーは徐々にプログラムを超えた情愛を抱くようになります。
そして迎えるクライマックス。鬼岩城の中枢でポセイドンの圧倒的な防壁と攻撃の前にドラえもんたちは倒れ、ドラえもんの頭脳回路さえも破壊されて万事休すとなります。捕らえられたしずかが「もう一度みんなに会いたかった」と涙を流した瞬間、ポケットから飛び出したバギーのAIが覚醒します。
「シズカサン……ナカナイデ……シズカサンノナミダ……」
自己保存の本能を捨て、しずかを泣かせた元凶であるポセイドンめがけて猛スピードで突進するバギー。ポセイドンの開いた口(給排気口)に自ら飛び込み、体内のエネルギーを暴走させて自爆・刺し違えることで、ポセイドンを完全破壊し地球を救います。崩壊した鬼岩城の瓦礫の中で、しずかが泣きながらバギーの残骸(ネジとメモリーチップ)を拾い上げる結末は、シリーズ屈指の涙腺崩壊シーンとして語り継がれています。