平松投手の現在とカミソリシュートの伝説|通算201勝の軌跡と真実
平松政次という投手を語る上で絶対に外せないのが、球史に燦然と輝く魔球カミソリシュートです。当時の打者たちが「バットの芯を外されるどころか、手元でカミソリの刃のようにスッと視界から消えてインコースをえぐってきた」と証言したことからこの異名が定着しました。
当時の測定機器や関係者の証言から推計される平松投手の球種と球速は、全盛期においてストレートが最速150km/h超を記録していました。そして驚くべきことに、その剛速球と全く同じ腕の振りから繰り出されるシュートの球速も140km/h台中盤から後半に達していたのです。平松投手が投げていた主な球種は以下の通りです。
- 高速カミソリシュート:打者の胸元へ鋭角に切れ込む超高速変化球。右打者の内角をえぐり、左打者の外角へ逃げるウイニングショット。
- フォーシーム(直球):伸びのある快速球で、シュートを強烈に意識させるための生命線。
- カーブ・スライダー:カウント稼ぎや緩急をつけるために織り交ぜた変化球。
平松氏が自著や回顧録のインタビューで語ったところによると、このシュートは中指の腹に強烈な圧力をかけ、リリース時に手首を内側に押し込むようにしてスピンをかける独特の握りから生まれていました。巨人の主砲であった長嶋茂雄氏は後に「平松のシュートは分かっていてもバットが空を切るか、バットの根元をへし折られた」と述懐しており、通算で数多くのバットを粉砕した伝説が残されています。