『殺人犯はそこにいる』が暴く未解決事件の隠蔽と真犯人の正体
1990年代初頭、初期のDNA型鑑定技術は「絶対的な科学的証拠」として法廷に持ち込まれた。しかし、その精度は現在の基準とは比べものにならないほど不完全なものだった。足利事件で逮捕され、17年半ものあいだ自由を奪われた菅家利和さんの人生は、不完全な科学と自白の強要によって壊された。
当時の警察・検察は、自らの過ちを認めることを恐れた。間違いが発覚すれば、同一の鑑定手法を用いた他の事件の公判維持にも波及するからだ。組織の保身が生み出した沈黙の連鎖。それが結果として、真犯人を野放しにし、更なる悲劇を招く引き金となった。