聖徳太子の本名はなぜ厩戸皇子?教科書から消えた理由と実在説の真相
「聖徳太子の名前が教科書から抹消されるらしい」という噂がネット上を駆け巡り、大きな物議を醸した時期がありました。これは2017年に文部科学省が告示した新学習指導要領の改訂プロセスにおいて、文科省の検討案が「中学校では厩戸王(聖徳太子)」「高校では厩戸王」と表記する方針を示したことがきっかけでした。これに対して世論や有識者から「長年定着した偉人の呼称を排除すべきではない」という強い反発やパブリックコメントが殺到し、最終的には双方が納得できる形で調整が図られました。
教育現場における実際の表記状況を検証してみると、完全な排除ではなく、極めて実務的で知的なハイブリッド表記が採用されていることがわかります。
- 中学校の歴史教科書:「聖徳太子(厩戸王)」という形で、一般に浸透している「聖徳太子」を主見出しにしつつ、史実上の実名である「厩戸王」を括弧書きで併記する形式が多数を占めています。
- 高等学校の日本史探究・歴史総合教科書:学術的な厳密さを重視し、「厩戸王(聖徳太子)」と実名を主とし、通称を併記するスタイルが主流となっています。
教育現場を取材する教員や専門学校講師からは「親世代が『自分の子どもが厩戸王と習っていて話が合わない』と戸惑うケースは日常茶飯事だが、授業で『生前の名前と死後の尊称の違い』を解説すると、生徒は歴史の複眼的な見方に深い知的好奇心を示す」という声が上がっています。教科書改訂の真の目的は、偉人の抹殺ではなく、「当時の政治史としての実態」と「後世に作られた文化・信仰としての太子像」を明確に区別して理解させることにあります。