五郎島金時がなぜ最強なのか?プロが教えるホクホクの秘密と絶品焼き方
五郎島金時のルーツは江戸時代、元禄年間にまで遡ります。加賀藩の農民であった岡部次郎兵衛が薩摩国(現在の鹿児島県)から種芋を苦労の末に持ち帰り、現在の金沢市五郎島地区で栽培を始めたのが発祥とされています。以来300年以上にわたり、金沢の厳しい風土と職人肌の農家たちの手によって守り継がれ、今日では金沢市が認定する15品目の加賀野菜(伝統農産物)の中核を担うブランドへと成長しました。
五郎島金時を語る上で欠かせないのが、日本屈指と称される「きめの細かい粉質(ホクホク感)」です。一般的なさつまいもが粘質化しやすい粘土質の土壌で育つのに対し、五郎島地区は日本海沿岸特有の砂丘地帯。この金沢市五郎島地区の砂丘地栽培こそが、奇跡の食感を生み出す最大の要因です。砂地は保水力が極めて低く水はけが抜群に良いため、余分な水分を吸い込まず、芋内部にデンプン質がぎっしりと凝縮されます。
糖度という数値だけに目を奪われると、近年の高糖度芋(糖度40度超)に比べて控えめに見えるかもしれません。しかし、五郎島金時の糖度は加熱時でおよそ20〜25度前後。高純度なデンプンがゆっくりと麦芽糖(マルトース)へ分解されることで、喉を刺すようなしつこい甘さではなく、栗のようにふくよかで品格のある「後切れの良い甘み」が完成します。料理長クラスの和食職人が「懐石の揚げ物や飯ものには五郎島金時以外使えない」と口を揃える理由がここにあります。