一億総中流はなぜ崩壊したのか?格差拡大の真相と二極化のリアル
「一億総中流」というフレーズが日本社会に深く浸透したのは、1970年代前半のことです。内閣府(当時は総理府)が毎年実施している「国民生活に関する世論調査」において、自らの生活水準を「中(上・中・下の合計)」と答えた割合が1970年代半ばに90%を突破したことが決定打となりました。
この背景には、1950年代後半から始まった高度経済成長期の存在があります。三種の神器(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)や3C(カラーテレビ・クーラー・自動車)が急速に普及し、農村部から都市部の製造業へ大量の労働力が移動しました。日本型雇用慣行と呼ばれる「終身雇用」「年功序列賃金」「企業内組合」の三位一体が機能し、正規雇用社員として企業に所属していれば、年齢とともに給与が上がり、退職金と手厚い厚生年金で老後が保障される強固な仕組みが完成したのです。
当時の日本は、所得格差を示すジニ係数(当初所得)も先進国の中で比較的低く抑えられており、「働けば報われる」「隣の家と同じ生活ができる」という安心感が社会全体を包み込んでいました。これが、世界でも類を見ない巨大な同質社会、「一億総中流神話」の正体です。