映画界の巨匠・奥田瑛二が語る演技論、家族の秘話と監督作の裏側
彼の役者としての歩みは、常に挑戦と変革の連続だった。二枚目俳優としての脚光を浴びた若手時代から、次第に人間の業や痛みを体現する深みのある役柄へとシフトしていったプロセスは、日本の映画史そのものと言っても過言ではない。
特に1990年代を代表する主演作である映画『棒の哀しみ』で見せた、過酷な宿命に背を向けず生きる男の佇まいは、観客の心に強烈な爪痕を残した。哀哀たる感情のひだを静かに醸し出すその表現力は高く評価され、男優主演賞を総なめにする快挙を成し遂げている。単なる悪役やヒーローにとどまらない、人間の割り切れなさをリアルに表現する技術こそが、彼の真骨頂だ。