シュレックが関西弁の理由とは?浜田雅功起用の真相とスコットランド訛りの謎
本作のキャスティングを巡っては、インターネット上で長年根強く語られている俗説があります。「巨大芸能事務所によるプロモーション枠のゴリ押しだったのではないか」「吉本興業の政治力で関西弁になったのではないか」という穿った憶測です。
しかし当時の制作記録や配給プロデューサーらの証言を照らし合わせると、この見方は事実誤認であることが明白になります。企画の発端はあくまで、洋画配給会社のアスミック・エースおよび角川の宣伝・制作スタッフが、「スコットランド訛りのアウトサイダー性を日本でどう表現すべきか」という翻訳上の壁にぶつかり、議論を重ねた結果生まれたアイディアでした。
現場における方言の扱いも極めて厳密でした。タレントに現場で適当に喋らせたのではなく、一言一句の音調(イントネーション)に至るまで関西弁のニュアンスを精査した特注の台本が作成されています。さらに、浜田氏が感情を込めて発した台詞のテイクを何重にも録り直し、アニメーションのリップシンク(唇の動き)に徹底的に寄り添わせる過酷なディレクションが行われました。
商業的な話題作りだけを目的とした安易なタイアップであれば、続編の『シュレック2』『シュレック3』『シュレック フォーエバー』、さらにはテレビスペシャルに至るまで、同一の座組で何年にもわたり高いクオリティを維持し続けることは不可能です。クリエイターたちが作品の根底にあるスピリットを理解し、愚直なまでに細部を突き詰めたからこそ成し遂げられたローカライズだったと言えます。